こんばんは。今年の三月は寒暖の差が激しくて、裏山の木蓮もいっせいに咲いたのはいいのですが、先日の思わぬ雪にびっくりしたのでしょう咲ききらぬうちに枯れて来ました。情けなくしょんぼりしている様に見えます。かわいそうですね。各地の農作物もこの異変について行けず大打撃を受けているというニュースが有りました。
工房は乾山陶器の見本をあれやこれや作っています。一窯見本で焼きたいと思っています。二年近く掛け集めてきた材料が、やっと決まって来ました。しかし原料の安定した供給は望めなく、最近では廃業する業者が多く来ているので、絶えず新しい原料を手に入れてテストを繰り返していかなくてはなりません。
私は原料を調達する時の自分なりの流儀を持っています。今の御時勢インターネットなどで簡単に材料は宅急便などで送ってもらえるのですが、そういうことはどうなのでしょうか。私はやはり実際に現場に行かなくてはいけないと思っているのです。鉱山に行ってあれやこれやとお話を伺うのが、礼儀だと考えています。土になる前の原料を手にすることは、大変重要なことだと思います。石は意思を持っていますよ。伝わるのですね。その原料を土屋さんはどのようにして作っているのか、どのような機械で作っているのか、仕事場は整理されているのか。行くとまた多くの知識を得ることが出来ます。
陶土を作る事は大変な仕事なのです。私も山から自ら掘って来た土を使うこともあるのですが、精製し成形出来るまでどんなに手間がかかるか、充分体験しています。弟子のころは木根で土を砕き、スイヒ層に入れ何日も掛けて土を作りました。いい土を作るには作り手の思いや願い、哲学が重要です。そんな手塩にかけた陶土ですから、まずは挨拶が必要と考えています。
色々な特殊な材料が窯業地でもないこの地に集まって来てくれるのも、私には大変ありがたいまた誇れる流儀の一つだと思っています。
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