飯碗、考、されど飯碗

太平洋高気圧が張り出してきているようです。少し落ち着いたお天気が続く様ですね。工房に朝から清々しい風が流れています。台風以後山間はすっかり秋色になってしまいました。飼っている犬たちも食欲が出てきたようで、何となく超えてきたように思います。まだまだこれからなのでしょうが、食欲の秋到来のようです。

各地で早場米が出始めています。新米の美味しい季節になりました。工房は新しい飯碗をHPに出していきます。使って楽しい、またご飯がおいしい飯碗。飯碗ができれば一人前とよく言われました。若い頃は「飯碗ぐらい、」と思っていましたが、陶芸を始め5年、10年とたってくると、何とも奥の深いものだと思うようになってきました。自分なりのオリジナルな飯碗となると、さあ、どうでしょうか。一生にどのくらいのものが出来るでしょうか。毎日使っても飽きのこない、それでいて益々愛着の湧く飯碗となると、そう簡単にできる物ではありません。

t20110908.jpgさて、日本人はいつ頃から陶磁器を使ってご飯を食べだしたのでしょうか? 階級にもよりますが、町民あたりが使いだしたのはやはり江戸中期、伊万里で磁器が焼け、大量生産が可能になってからだと思われます。最初は上級クラスの高値の花だったものが、徐々に庶民にも使えるようになった。また、庶民が玄米から白米に変わっていいたのも、この時期だったと思います。日本人は長く木器で玄米を食していました。磁器の飯碗で白米を食べる。時代が大きく進歩したように思いますね。今と変わらない食卓の風景です。

そんなことを考えると、文禄、慶長の役は後々の日本に産業や経済を大きく推進させることになったと思います。近代の基礎を作る、意味深いものだったと考えられます。このことはもう少し時間を費やし深く書いてみたいと思っていますが、今食卓にある一つの飯碗から色々なことを考えられ、面白くなってきます。

日本人はお箸やお茶碗など自分自身のものを持って暮らしています。これも世界では珍しいことの一つだと思います。マイ茶碗、マイカップ、マイお箸などなど。生涯にいくつもの飯碗と出会い使い、ともに人生を生き抜いていく。飯碗、されど飯碗。そのような事を思いながら、今日も轆轤を回しましょう。がんばろ。

飯碗、考、されど飯碗

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新作アップしましたー「京焼 ワラビ文小皿」

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京焼「ワラビ文小皿」です。

菊の花の形をした豆皿にワラビ文を描きました。落ち着いた土味に”ニゴ箒”という稲穂でつくった刷毛を使い白化粧を施してあります。
シンプルな趣ですが、キリッとワラビ文を引き立てています。お料理の隣に、薬味やお塩などの脇役使いで活躍してくれます。

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「夕顔文飯碗」-ろくろ制作

陶主は今日も新調合赤土を使っての見本制作です。残った土で前回はぐい呑みを作りましたが、今日は飯碗をろくろびきしました。夕顔文の飯碗になる予定です!新作ができてくるとワクワクします。私は四方小皿の菊文を絵付け中です。


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「夕顔文飯碗」-ろくろ制作

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「夕顔文向付」の見本制作

陶主は昨日赤く配合した土で「夕顔文向付」の見本制作です。私は上絵の窯を詰めました。内容は乾山写し雲菊文銚子と鉋目皿の見本、花文小皿の追加制作の様子見の3種です。昨日、工芸店様から追加制作の注文を頂いたので、早速上絵付けの用意に入ります。  


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「夕顔文向付」の見本制作

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工芸今、秋色

おはようございます。今日は久しぶりに朝からすがすがしい天気に恵まれています。台風が過ぎる、気が付けばすっかり秋になっていました。蝉の声が遠のき、草むらの虫の音が心に沁みて参ります。

日本の陶器は世界の陶器から見るとかなり異種的です。季節感がてんこ盛りです。小皿一枚にも四季の花鳥風月が描かれていて、こんなに丁寧に季節を生活に織り込んでいる陶器も珍しいと思います。日本人はよく、目のご馳走と言いますが、ただ単に煌びやかなものを指して言っているのではなく、移ろいやすい四季折々の風情を細やかに表現されている品物をもって、この言葉が使われるように思います。

私たち日本人は工芸品に、見て触って味わって、またそのものを所有する喜びを求めています。移ろいやすい自然を自分の心の中で所有したい、自分の思い出をパッケージしたい。生活の折々に思い出の品を使ってみたい。数寄者と言われる根源は誰でもが持っているのではないでしょうか。

日本の工芸の特徴に「時間」がうまく描かれています。その時間の感覚を「妙」と表現したりもしているように思います。妙味とは、お皿ならお皿がまるで時空をこえて生き生きと生命をもって動くさまを感じることだと思います。

工芸にとって重要な言葉に「用」があります。用の美、柳宋悦先生が提唱された工芸の根本理念の一つだと思います。それをただ単に使いやすさなどと理解されると少し違った方向に行くように思います。日本人は用をもっと深く捉えていました。仏教でいう仏の働きを指していたようです。自己を消し自然と一つになり、仏の働きそのものになる。自利利他の働きと言えばいいのでしょうか。その働きが美の根源だというのです。

単に自然を描けばいいというものではないでしょう。草木に風が吹く。懐かしい父母の移り香が匂う。そんな一枚の皿に人は自分を見ることができるのではないでしょうか。物を手に入れる、それは自分自身を手に入れることだと思うのですが、いかがでしょうか。

工芸今、秋色

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陶芸の基本は土づくり

九月も始まりから荒れる模様です。台風5号による被害が各地に出ています。和歌山や奈良の山間部で川の氾濫で多くの人が亡くなり、また行方不明も出ています。今年は激しい厳しい年のように思います。本年も後半期になってきましたが、一層厳しさが増していくように感じています。心して、と思いますが、気持ちが内向きばかりだと何事も始まらないので、「今日も活きるぞぉ!」と朝心身に喝を入れています。

と言っても九月。朝晩少しは過ごしやすく新しい何かに挑戦したくなってきます。苦しい八月を何とか作品作りで気持ちを乗り越えてきた結果が少しずつ出はじてきました。少し上向きながらも底入れを怠るわけには行けません。しっかり地道にベースになる品物を作っていきたいと思っています。

陶芸の基礎は何と言っても土作りです。自分のイメージの土を探すことは基本中の基本です。いろいろ各地の土屋さんから見本をもらい自分なりに調合を重ね、またその土屋さんに試作を作ってもらいながらも、自分思う土を探すのですがこれでいい、と思える土に出会うことは至難の出来事です。私は必ず現場に行きます。土の採取場に行くとわくわくしてきます。現場の話は時に大発見に繋がります。今陶芸界で枯渇している材料の一つに、黄土があります。いい黄土が手に入らない。どの土屋さんも困り果てているのが現状です。特に私が最近手がけている「乾山陶器」には不可欠な材料です。

京焼、特に乾山焼きの基本になる土は、信楽の白土に鉄分の多い黄土を混ぜ込み、うまく化粧土がのる様に調合してあります。また黄土単味の仕事で有名なのが土器皿ですが、今乾山が使った黄土を手に入れようと思うと、それはかなり難しいことです。まあ、そんなことばかり言えないので。この二年何とか自分なりに探し求め、これという黄土を手に入れることができました。ここまで来ると企業秘密ですね。

陶芸は本当にコツコツと積み重ねていく仕事です。何年も何年もたってから、昔思考を重ねた一片のテストピースから閃きをもらう時がある。10年前、20年前の仕事が今に繋がっていく。陶芸の奥深さをしみじみ感じる昨今です。頑張ろう。

陶芸の基本は土づくり

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2011年9月焼き上げ作品

新作「ワラビ文豆皿」です。久々の豆皿の新作です。どうぞよろしくお願いします。乾山土を使い白化粧で景色を作った上に鉄でワラビをワンポイントで描きました。ワラビは春の絵柄ですがとても人気があり、普段使いでたくさん使ってもらえる小皿にしました。

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乾山写し銹絵染付絵替り醤油差しです。蔦、双葉葵、桐、松ぼっくり、菊の5種です。

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乾山写し絵替わり土器皿です。醤油さし、土器皿ともに工芸店様にて販売致しております。

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2011年9月焼き上げ作品

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京焼「菊形向付」ー型打ち準備

先週、菊形向付の原型を修正したものをまた型打ちして様子を見るための鉢をろくろ制作しました。その後、工芸店様の新作リクエスト「乾山写し夕顔文向付」の為の土色合わせ、と言いますか。土の赤さを見るための試作です。3パターンほど作る予定です。絵付けは、乾山写し鉋目皿の型制作への作り変えした分です。立葵文の葉の部分に色を盛りました。


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貝塚水間焼伏原窯 仕事一番

こんにちは。台風一過とはやはりいかないようで、まだまだ各地に洪水警報が出ています。雨量の多さには驚きです。十津川の災害をニュースで見ましたが、川沿いの村は大変怖い思いで夜を過ごされたことでしょう。私が住む大川村も昭和46年鉄砲水が出て、村を真二つに引き裂きました。小さな川ですが夜中地響きを立てて土石流が流れた様は何とも恐ろしい光景だったそうです。その災害で今は川上に大きな砂防壁が段々に造られています。

災害国日本、今年はどのようになるのでしょうね。悲観的な文章が多くなってきます。しかしよくも悪くも日本が大きく変わっていくチャンスなのでしょう。日本だけの出来事ではなく、世界がどうしても今の仕組みでは立ちいかなくなってきています。よく言えば100年に一度、1000年に一度の変革期の証人になれるのですから。面白い、楽しい、わくわくする、ととらえられるといいのですが。

今日は工房もお休みです。それで午後から貝塚市山手地区公民館陶芸クラブの日曜講座の指導に行ってきました。来月の公民祭、引き続いて貝塚市文化祭に出展する作品がみなさん大詰めを迎えています。毎年のことですが日にちが足りない人が出てきます。作品作りに追われて、こちらもひっきりなしに要請がかかります。皆さんの熱心な心にこちらも答えてあげたくなります。陶芸を通して交流していく世界が楽しく面白く感じています。

ここ貝塚で水間焼伏原窯が独立して26年。公民館陶芸クラブを指導して21年。地域に少しずつですが根差してきたと思っています。貝塚市役所の玄関にも水間焼の展示をしてくれています。南海貝塚駅前に市の「ぶらんどショップ」がオープンされ、貝塚市の特産品としても展示してくれています。

私が独立した時に水間焼伏原窯はこのようになればいいのになぁ。というイメージがあります。貝塚は古風なところが多く残っていて、願泉寺を中心に京文化も色濃くあって、そんなところを焼き物で表現され、造形されたら面白いものができそうだと思っていました。京風なしかしどこかいい意味での田舎さがある焼き物。地元の皆さんのこころが可愛らしく形になったらいいのにと思っていました。一朝一夕にはできない仕事ですが、泉州貝塚を代表し、世界に通じる焼き物を作るが私の生涯の仕事だと思っています。

貝塚水間焼伏原窯 仕事一番

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菊形向付ー型修正

今日は朝から工房犬菜奈子の診察に行ってきました。骨は綺麗にはひっつきませんでしたが、痛みはないようなので絶対安静を解除し、普段の生活に戻してあげることになりました。囲いも取り外し、もとの部屋を設えてあげました。仕事は先日型打ちのために作った鉢型のものを陶主が型打ちを試してみたのですが、型の切れ込みが小さかったらしく、型を修正することになりました。絵付けは乾山写し「菊形向付」の続きです。


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菊形向付ー型修正

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乾山陶器の材料確保

t20110903.jpg近畿地方は大型の台風12号の影響で各地に大雨洪水注意報が出ています。ここ泉州地方にも朝から注意報が出ているのです。今、四国に上陸したとニュースが出ています。速度が遅いので一昨日からの雨量はかなりのものでしょう。幸い工房は平常通りです。

一昨日の窯焚きも無事終え、昨日早速窯出ししました。思ったことがいい結果を出していたので、仕事に弾みが付きます。どの業界もそうなのでしょうが、この不況で工藝界もかなりの打撃を受けています。私たち作り手は品質のよい材料で支えられております。その材料を作ってくれる土屋さんや灰(あく)屋さんなどが廃業に追い込まれています。時間を重ね品質を保ってくれていた業者さんたちが悲鳴をあげて廃業されていく。こんな声を聴きました。「ここから早く逃げた者が勝ち。」悲しいですね。こんなことを聞くのは。

私たちはその中でも何とかいい作品を作ろうと研究を重ねています。今回土屋さんが変わったことで土味や焼けに不安があったのですが、考えていた調合でクリアーできたのが少しうれしく、安心いたしました。乾山陶器を本格的に始めて三年。いろいろな材料でテストを積み重ねて参りましたが、ようやく目指すところまで辿り着きました。しかしこの材料がずうっとあるとも限らず、いつどこかの業者が休業、廃業するか、そんな不安が付きまとうのがいやですね。材料の確保が先決ですが。

思えば長く焼き物ブームが続いていました。どこが潮も目だったか。そうですね、2000年に入ってたらでしょうか。徐々に衰退していったように思います。作品の内容もマンネリ化してきて、後継者もついてこなくなった。山があれば谷がある。しかし谷間に地殻変動が起こったように思います。失ったものは大きいかもしれませんが、現状を真摯に受け止め、前に駒を進めていく。きっと新しく開けてくる場所がある。そう信じて歩いていくのみです。

乾山陶器の材料確保

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乾山写し「雲菊紋銚子」ー上絵付け

窯出しです!久々の窯たきだったので、窯が出てきたら今している仕事が前に進んだように思います。焼きあげ作品は後日アップしたいと思います。内容は土の焼け具合もよく、陶主もほっとしている様子です。細工物は本当に時間がかかりますね。これから乾山写し「雲菊紋銚子」に赤絵を入れていきます。


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コーヒーに! 「辰砂椿文マグ」

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「辰砂椿マグ」のご紹介です。

雨が長く降っていますね。
工房の朝はコーヒーを淹れることからはじまります。工房にコーヒーの香りが漂って何とも気持ちのいいものです。

皆様はどんなカップでコーヒーをお飲みですか?私どもは陶器屋ですのでもちろん陶器のカップですが(^^)


 

b-magu5-2.jpg口作りの薄さ厚さや、手に持った時の重さ軽さ、焼き込みの違いなど、チェック項目は上げるときりがないですね。
知人で喫茶店をされている方が、私どものマグカップを購入されてコーヒーを飲んだところ、いつも飲んでいるコーヒーが美味しく感じたそうです。そこで、お店で使っているカップをいろいろ出してきて飲み比べをされたそうです。そうしますと伏原窯のマグカップが一番美味しかったそうです。有名なメーカーのカップよりおしかったそうで、”不思議です!”と仰ってました。

手づくりの良さでしょうか。陶主の技でしょうか。先ほど上げたチェック項目とは違う、何かが美味しくさせているように思います。皆様、是非一度お試しくださいませ!

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コーヒーに! 「辰砂椿文マグ」

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今日は窯焚き

土の仕分も仕事の一つです。クラブの方の使う土を小分けにして袋詰めします。画像(中)は乾山写し絵替わり飯碗の新作です。9月は飯碗特集を予定しています。こちらの絵柄は梅文と雲文です。よろしくお願いします!
昨日から焚いている窯が終わってから、陶主は菊形向付の型打ち用にろくろで鉢型のものを水びき(ろくろ成形のこと)しました。乾かないようにケースに入れて収納します。型打ち作業は後日です。


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今日は窯焚き

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乾山陶器の窯焚きです

t20110901.jpgお早うございます。昨日から窯を焚いています。乾山陶器を始めて三年になり、いろいろな物を創ってきました。この窯にも細工物が多く入っています。汁次の形をそのままに小型にして醤油差し。手付きの銚子、などなど。7月、8月はこの細工物を作るのに費やされてしまいました。かなりの手間仕事になってしまいました。しかし以前作った品物より一段と良くなったように思えます。何事も経験です。経験なくして進歩なし、ですね。

今日は朝から台風の影響でこちらは雨模様です。それほど激しく降っていませんが、今夜から本格的になると聞いています。9月は防災月間です。今日も朝のテレビは防災グッズを紹介していました。阪神淡路の震災時と違って、かなりのレベルで防災意識が高まっていると思えます。最近私は意識して生活をシンプルにしようとしています。身の周りのものを整理し始めています。これもきっと防災にたいして自己防衛が働いているんだと勝手に思っています。自分にとって何が必要なのか、大切なのか、よくよく考えるようになりました。

今回の震災で「絆」という言葉が出てきました。これはいのちの繋がりを意味しているのでしょう。生きとし生けるもの、いやそれだけではなく私たちが生命と感じていないものも本当は深く生命循環にかかわり支え合っている、そんな深く尊いいのちが連綿として時空を超え繋がっていることに意識するようになりました。私たちは自然の恵み、恩恵を受け仕事をさせてもらっています。土、水、火。釉薬には木の灰が入っています。また色を出すのに金属を粉にして使っています。自然の5元素と言われるものを使って、心を表現し伝え合い、絆を築こうというのが、わたしの陶芸です。

雨がしきりに降りだしました。間もなく窯も1200度を超えだしました。昨日から続く窯焚きも佳境になってきました。今回は酸化焼きでじっくりねらしたいと思います。

乾山陶器の窯焚きです

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窯詰め

釉薬の直しを終え、窯詰めです。窯詰めは下から順番に何を入れていくかを考えながら詰めていきます。焼く場所でも焼け方が変わってきますので、慎重に進めていきます。内容は 乾山写し絵替わり土器皿、乾山写し醤油さし、銚子、乾山写し松文茶碗、です。陶主明日は窯焚きです。

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窯詰め

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続、釉薬掛け

昨日からの釉薬掛けの続きです。土器皿の絵付けを終わらせ、釉薬の直しをします。指あと直しとか言いますが、釉薬をかける際に器を掴む部分に釉薬が付きません。その部分に後から筆で釉薬を足し、また付き過ぎている部分は鉋(削り道具)ではつったりします。釉薬をかけるのは瞬間技ですが、その後の直しは結構時間がかかります。


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続、釉薬掛け

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嫋やかなこころを

おはようございます。厳しく荒れた8月も後二日。今日の工房は朝から穏やかな日差しが降り注ぎ、蝉の声に癒されています。今年も何とか無事に夏を終えることができました。九月からは季節も変わり、年末に向けての仕事が始まります。いつものことですが、9月半ばにはお正月商品の下ごしらえをし始めます。今年は震災もあり経済が大きく落ち込み、皆様のこころも委縮しています。どの様な作品がお客様のこころに寄り添えるか、いろいろと考えながら下準備をしたいと思っています。

私は長く陶芸の道を歩ませていただきながら、常に思うことがあります。焼き物は単に使われる道具だけでなく、人の心の深層部まで繋がることのできる物だと考えています。よく私は「ハート・ツー・ハート」と言います。道具を超えた活きたこころとして通じ合うことができる物だと確信しております。

もう25年前でしょうか。私にとって大きなまた励ましのエピソードがあります。ここにきてまだ独立して間もない頃、展示会で一つのお湯呑を買われたお客様が、後日私の工房にやってこられ、「失明された友人に、買わせて頂いたお湯呑をプレゼントしたのですが、彼女が手のひらにそっとお湯呑をのせて、こんなにやさしいお湯呑があるのね、と言われた。」といいます。そして「心に釉薬の色も見える。」と仰ったと。私は何か自信を得たように思えました。間違いない、この世界(陶芸)には通じる道がある。この道を歩めば必ず伝え合う世界が生まれる。

今年は激動の年です。もしかしたらここからが始まりなのかもしれません。厳しく心が折れることが頻繁に起こるかもしれません。人は弱いものです。しかし人は心をつなげることで、柔軟に激動の波を超えることができると思っています。この時期こそ、嫋やか(たおやか)な精神が必要になると思っています。

工房の朝、静かに目と閉じ、祈りを捧げ、今日も丹田に力を入れ、仕事を進めます。

嫋やかなこころを

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窯準備2011.8.29

窯焚きが見えてきましたね。一通りの作りを終え、久しぶりに窯を焚く準備に入りました。陶主は釉薬をかけ始めました。写真の豆皿は、新作のワラビ文豆皿です。少々、季節がずれてしまいましたが、よろしくお願います。私は乾山写し絵替わり土器皿の絵付けです。これは稲穂の図柄です。田んぼに水が溜まり、空が映し出されている風情でしょうか。


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窯準備2011.8.29

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サラダを美味しくー「月白釉梅紋鉢」

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「月白釉梅紋鉢」のご紹介です。

伏原窯の自然釉で優しく焼き上げた大鉢です。見込みから口元にかけて、白化粧を使い大きく梅の形に抜いてあります。全体に少し青味を帯びた釉調の中に、梅の花が浮かび上がってます。

柔らかい色調のお鉢なので、サラダのような色鮮やかなものや、ひじきやおからなどの煮物を盛っても綺麗です。食卓に一つ盛鉢をおいて、みんなで取り分けるてはどうでしょう。

「月白釉梅紋鉢」のページへ

乾山写し絵替わり飯碗-化粧掛け

乾山写し絵替わり飯碗のろくろ削り仕上げを終え、白化粧を使って景色を作っていきます。この白で作られたキャンバスに絵付けをしていくのが乾山陶器の面白いところですね。先日型越しをしました、「笹形小皿」を仕上げました。土器皿の下書きをし、絵付けに入ります。


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秋の好日に使いたい器

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乾山写し「菊図平向付」のご紹介です。

日差しが弱まり、季節の変わり目を感じます。これから、だんだんと秋の味覚もやってきますし、お料理が楽しくなりますね。
白化粧で丸く柔らかな菊を描き、葉を呉須と鉄でアクセントにしてあります。全体の雰囲気が柔らかく仕上がっています。見込みからのなだらから曲線が綺麗に出ていて、お料理が盛りやすいです。

秋野菜の里芋と人参を炊き合わせにして盛ってみたり、焼き穴子を盛ってみるのはいかがでしょうか?

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新作箸置きー原型制作

新作箸置きを石膏型にするための原型を作ります。少し硬めの土で形どり、細かい部分を仕上げていきます。
大体、形になりましたが、気持ち小さいかな?という指摘が入り一先ず、ここで間を置きます。絵付けに入っていきたいと思います。


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新作箸置きー原型制作

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乾山写し絵替わり土器皿-化粧掛け

乾山写し絵替わり土器皿の化粧掛けです。予め割をつけたものに白化粧を施していきます。白い部分がキャンバスになるのでとても重要な作業です。昨日に引き続き、素焼きに撥水剤をかけ豆皿に絵付けをしました。夕方、箸置きの話になり、イメージがあるうちにということで形を出しました。椿と菊です。シリーズにできたらいいなと思いながら、まずは2種作りたいと思います。


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今日は火曜教室

今日は火曜教室の日でした。大きな陶板を作ったり、組み物の変わり向付、普段使いのお鉢とみなさん、楽しんでおられました。この教室では3時にお茶を入れて、休憩をします。いろいろな話が飛び交いとても楽しいです。
仕事は素焼きをだし、撥水剤をかけたり、仕上げをしたりと窯焚きに一つ駒を進めました。

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今日は火曜教室

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冷酒にいかがー乾山写しぐい呑み

b-guinomi17-1.jpg 乾山写し「絵替わりぐい呑み(立葵)」のご紹介です。

お盆も過ぎて工房は少し涼しい風が吹いています。夏の終わりを名残惜しみながら、立葵文のぐい呑みでいっぱいいかがでしょうか。取り合わせに秋の代名詞、菊の6寸皿を並べてみました。

乾山の絵柄でぐい呑みシリーズを作った中の葵紋です。白化粧のキャンバスの上に呉須と鉄絵で描いた葵紋はモノトーンですが、色合いを感じます。少し大ぶりの作りで口元は切り立っています、お酒の切れ味は抜群です。
今回は冷酒はいかがというご案内ですが、お浸しやイカの塩辛のような酒のあてを少し盛ってみてもいい感じに使えます。

乾山写し「絵替わりぐい呑み(立葵)」のページへ

時期を逸すれば

t20110822.jpgお早うございます。8月も20日を過ぎるとすっかり季節が変わり、蝉の声もミンミン蝉やツクツク法師に変わってきました。昨日、日本ミツバチの師匠がやってきて、今年は20リットル、30リットルも採れたといっていました。さっそく我が家の巣箱も採蜜しようということで、ネットを被り慎重に巣箱を開けてみましたが、これもなかなか難しいものですね。お盆過ぎに採ろうと言っていたのですが、どうも時期を外したようで、分蜂した後だったようです。そういえば一週間程前巣箱にたくさんの蜂が飛んでいました。分蜂しているのかな?と思ったのですが、こちらも忙しくしていたので、お盆が終わったのに延ばし、延ばしした結果だと思います。非常に残念です。スムシは入っていなくて助かったのですが、師匠はこれからまだ蜜をとってくるから、岸和田祭りあたりにもう一度見てみよう、と慰めていました。今年こそと張り切っていたのですが、まあ、一縷の望みを託して観察していきます。

何事もタイミングを逸するとダメですね。私たちの仕事も土の乾き具合を見極めて仕事を進めます。特に細工仕事は乾燥に注意をし、霧吹きなど使って要所、要所に適当な湿気を与え、その細工に遭った乾燥に合わせます。一個の品物なら乾燥の具合を時間に合わせて仕事を進められるのですが、数ものになると、全体を何日も同じ湿気で維持させなければなりません。新聞を湿らせて品物に被せたり、それをまたビニールで覆いかぶせたりと、全体を室で覆った格好にして、仕事を進めていきます。
土の接合は同じ固さでないと乾燥時にヒビが生じてきます。せっかく作り上げた品物が、乾燥と共に接合面に亀裂が入る。乾燥してしまうと後戻りできないのが陶芸で、悔しい思いに駆られます。
時間の流れをうまくとらえ、自然体に仕事が進むことを願って、日々是また精進です。今日もまた、よろしくお願いいたします。

時期を逸すれば

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乾山写し「絵替わり飯碗」続ろくろ成形

乾山写し絵替わり飯碗のろくろ成形です。絵付けは乾山写し雲菊文銚子の絵付けが終わりました。今日は養蜂の師匠がやってきて、巣箱を見てみることになりました。蜜があまり入っていなかったので収穫は先延ばしになりました。待ち遠しいです。


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乾山写し「絵替わり飯碗」ーろくろ成形

乾山写し絵替わり土器皿、成形と雲菊文銚子絵付けの続きです。工房では秋の新作について検討中です。さっそく、葵紋飯碗のシリーズを作成することが決定しました。絵替わりで何点か新作飯碗にしたいと思います。陶主がろくろびきしているのが飯碗です。


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